
この本について
人の関係や性のモラルについて、「これって昔からどうだったんだろう」とぼんやり気になることがありますよね。今の価値観で迷子になりがちなところに、歴史の実態を知ると少し距離が取れたりします。江戸の人たちもいろいろと揺れながら生きていたんだな、と肩の力が抜ける感じがあります。 この本が面白いのは、「江戸=堅苦しい道徳社会」というイメージを軽くひっくり返してくれるところです。芸者と遊女の立場の差や、公事宿の主人が弁護士のように振る舞っていたこと、吉原の楼主ですら抱え遊女に手を出すのが固く禁じられていたことなど、具体的な生活のルールが描かれていて、当時の人間関係のリアルな境界線が見えてきます。また、婚姻以外の性交渉はすべて「密通」とされながらも、実際には内済で済むことが多かったり、不倫が特別なスキャンダルではなかったりと、「制度」と「現実」がズレていたこともわかりやすいです。 こういうギャップを知ると、「正しさ」だけで人の行動を説明するのは難しいよな、と自然に思えるようになります。誰かにとってのタブーが、別の時代には日常だったりする。その視点を持てるだけで、自分の判断にも余白が生まれる感じがしました。 今のモラルや人間関係の息苦しさに、少し距離を置きたい人に刺さると思います。
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