
この本について
仕事に全力を注いでいるつもりなのに、どこかで「この努力はどこに向かっているんだろう」と立ち止まる瞬間ってありますよね。周りから評価されても、自分の中では空洞が残ったまま。使命感と現実の間で揺れたり、やりたいことと組織の論理が噛み合わなかったり。あのモヤモヤに名前をつけられないまま、日々が進んでいく感じです。 『瀕死のライオン(上)』は、特殊部隊や情報機関という非日常の世界を舞台にしていますが、登場人物たちの心の揺れ方が妙に“自分ごと”に刺さります。自分の価値が見えなくなるほどの自己否定、努力の先に何も見えなくなったときの虚無、そして「それでも前に進むのか」と問われる瞬間。抽象論ではなく、身体が震えるほどの怒りや、目の前の任務に自分の存在理由を探す姿が、生々しい形で描かれています。 読んでいて特に感じたのは、彼らが常に「自分は何に命を使うのか」を問われ続けているということです。政治判断の裏側で、自分の書いた一文が国を動かすかもしれないという興奮と重圧。逆に、訓練ばかりで力の置き場がないときの焦燥。どちらも極端なのに、不思議と日常に通じる感覚があるんですよね。「自分の仕事はどこにつながっているのか」という問いを、少しだけ立体的に見せてくれる本です。 深刻な物語ではありますが、読後に残るのは重さよりも視界がひらく感じに近いと思います。仕事に覚悟を持ちたいけれど、いまの自分に確信が持てない──そんな人にこそ届く一冊です。
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