
この本について
人間関係で「感情に振り回されて失敗した」「頭では分かってるのに身体がついてこない」みたいな感覚、けっこうありますよね。冷静でいたいのに、恐怖や焦りが一気に押し寄せて判断がぶれる。あるいは、他人の痛みや事情を想像したいのに、自分の中の思い込みのほうが先に動いてしまう。私も仕事の調査や取材で、そんな場面に何度も遭遇してきました。 『悪いうさぎ』の抜粋を読んでいると、まさにその「人間の弱さ」がこれでもかと描かれています。閉じ込められた状況で怒りから恐怖に変わり、言うまいと思っていた言葉が口をついて出てしまうシーン。あるいは、感情が先走る若い子を、長年の経験で必死に制している場面。こういう描写が妙に胸に刺さります。強さを見せている人でも、裏側には震えや逡巡が必ずある。そこに変な理屈を押しつけないところが、このシリーズの特徴でもあります。 読んでいて思うのは、状況がとんでもなくハードでも、登場人物たちは「正しさ」より「現実にどう動くか」を選んでいるということです。怖がってもいいし、間違えてもいい。けれど、その中で冷静さを少しだけ取り戻す瞬間がある。その積み重ねが、生き残るための唯一の道になる。日常の仕事でも、結局はこれに尽きる気がします。 「強くありたいけど、実際はビビりだし焦ることも多い」という人には特に刺さると思います。自分の弱さを責めるんじゃなく、どう扱うか。そんな視点を、この物語はさりげなく教えてくれます。
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