
熊と踊れ 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
アンデシュ ルースルンド、ステファン トゥンベリ、ヘレンハルメ 美穂、羽根 由
早川書房 / 2016-09-15
この本について
仕事でも人間関係でも、追い込まれたときに「自分の感情をどう扱えばいいのか」わからなくなることがあります。怒りを押し込めても爆発するし、正面から向き合おうとすると体力をもっていかれる。そんなとき、何を軸に踏ん張ればいいのか──自分でもよくわからなくなるんですよね。 『熊と踊れ 下』の抜粋に反応する人は、おそらく“ぐらつく内側をどうにか保とうとする瞬間”に共鳴している気がします。こめかみに巣をつくるような怒りを押しとどめる描写は、自分の中の暴れそうな感情を必死でいなすあの感覚に近いし、鍵のかかったドアの向こうで離れ離れでも「それでも一緒だ」と自分に言い聞かせる場面は、孤独に耐えながら小さな支えを探す自分に重なります。 この物語が効いてくるのは、まず「怒りや焦りが湧いたとき、行動の選択肢はまだ自分の手の中にある」と静かに教えてくれるところ。追い詰められても、口を開くかどうか、どう立つかは自分で決められるという感覚が、読後にじんわり残ります。もうひとつは、どれだけ状況が悪くても、人とのつながりが自分の中の基準を支えてくれるという点。時を計り、やり過ごしながら、一緒にいた時間を自分の芯として持ち続ける姿は、日常の踏ん張りどころでも思い出せる視点でした。 「感情に振り回されやすいけれど、ただ強くなればいいとは思えない人」に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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