
熊と踊れ 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
アンデシュ ルースルンド、ステファン トゥンベリ、ヘレンハルメ 美穂、羽根 由
早川書房 / 2016-09-15
この本について
日々ちゃんと生きているつもりなのに、家族との距離感とか、自分の居場所とか、どこかしら噛み合わないまま続いていく感じってありますよね。表に出ないだけで、みんなそれぞれ背景や事情を抱えていて、でもそれを他人は知らない。自分がどう見られているかと、本当の自分がどこにいるのかのズレに、ふと疲れるときがあります。 『熊と踊れ 上』を読んでいて刺さるのは、登場人物たちが“正しさ”とは別のところで必死に選択してしまう、その生々しさです。息子の未来を思いながらも、自分の生き方を変えきれない父。誰かを頼りにせざるをえない生活の中で、どこまでを自分の判断として引き受けるのか揺れる若者。銃や暴力といった極端な道具が出てきても、描かれているのは結局「実在する自分をどう扱うか」という問いなんだと思います。キャラクターの行動一つひとつが、理屈よりも感情と環境の積み重ねで決まっていく感じがリアルで、読んでいる側も他人事として距離を置けなくなります。 この物語のいいところは、犯罪小説でありながら、登場人物たちの“変われなさ”や“変わりたい気持ち”がきちんと地に足ついた温度で描かれているところです。大きな教訓があるというより、彼らの選択を追っていくうちに、自分の中の言い訳や限界にも少しだけ目が向く。何を選んでも完全ではないけれど、選ぶしかない場面って確かにあるよな、と静かに思わされます。 他人の事情と自分の事情の境界が曖昧に感じている人、あるいは“実在する自分”をどう扱っていいかわからなくなる瞬間がある人に、じわっと効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt
熊と踊れ 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
アンデシュ ルースルンド、ステファン トゥンベリ、ヘレンハルメ 美穂、羽根 由

パン屋再襲撃 (文春文庫)
村上春樹

悪いものが、来ませんように (角川文庫)
芦沢 央

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
加納 新太, 田中 将賀, 朝日川 日和, and 新海 誠

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
桜庭 一樹
書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要