
パン屋再襲撃 (文春文庫)
村上春樹
文藝春秋 / 2011-03-10
この本について
日々の生活が流れていく中で、「自分の感情がどこにあるのかよくわからない」「何かを失った気がするけど、その正体がつかめない」みたいなモヤモヤってありますよね。忙しくしていれば誤魔化せるけれど、ふと立ち止まると胸の奥でざらつきだけが残っている、あの感じです。 『パン屋再襲撃』の抜粋を眺めていると、読者が惹かれているのは派手な事件ではなく、むしろその“ざらつき”のほうなんじゃないかと思いました。象が消えることより、人々がすぐに忘れていくこと。事実八割と省察二割で自分を保とうとする姿勢。内気と傲慢の間で折り返し運転をしてしまう不器用さ。こういう、生活の隙間に沈んでいる感情を拾ってくれるのが、この本の効き目です。 読んでいて一番救われるのは、「混乱していても、それが致命的な種類じゃないこともある」という視点をそっと置いてくれるところです。何かをしても何もしなくても差が見えない時期って、誰にだってある。でもその停滞の中で、物事の“失われた瞬間”ではなく“失われていたと気づいた瞬間”に触れられると、自分の現在地が少しだけ見えてくる。物語の奇妙さやユーモアはあるけれど、そこで描かれる迷いはとても現実的です。 今の生活にうまく馴染めない感覚を持っている人、あるいは変化を望んでいるのに体が動かない人にほど、静かに刺さる一冊だと思います。読んで世界が劇的に変わるわけじゃないけれど、変わらないままの自分を少しだけ許せるようになる。そんな位置づけの本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要









