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パン屋再襲撃 (文春文庫)

パン屋再襲撃 (文春文庫)

村上春樹

文藝春秋 / 2011-03-10

累計読者数6
平均ハイライト数 5.8件/人
推定読了時間 約2時間30分
star総合評価 51/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 46%

この本について

日々の生活が流れていく中で、「自分の感情がどこにあるのかよくわからない」「何かを失った気がするけど、その正体がつかめない」みたいなモヤモヤってありますよね。忙しくしていれば誤魔化せるけれど、ふと立ち止まると胸の奥でざらつきだけが残っている、あの感じです。 『パン屋再襲撃』の抜粋を眺めていると、読者が惹かれているのは派手な事件ではなく、むしろその“ざらつき”のほうなんじゃないかと思いました。象が消えることより、人々がすぐに忘れていくこと。事実八割と省察二割で自分を保とうとする姿勢。内気と傲慢の間で折り返し運転をしてしまう不器用さ。こういう、生活の隙間に沈んでいる感情を拾ってくれるのが、この本の効き目です。 読んでいて一番救われるのは、「混乱していても、それが致命的な種類じゃないこともある」という視点をそっと置いてくれるところです。何かをしても何もしなくても差が見えない時期って、誰にだってある。でもその停滞の中で、物事の“失われた瞬間”ではなく“失われていたと気づいた瞬間”に触れられると、自分の現在地が少しだけ見えてくる。物語の奇妙さやユーモアはあるけれど、そこで描かれる迷いはとても現実的です。 今の生活にうまく馴染めない感覚を持っている人、あるいは変化を望んでいるのに体が動かない人にほど、静かに刺さる一冊だと思います。読んで世界が劇的に変わるわけじゃないけれど、変わらないままの自分を少しだけ許せるようになる。そんな位置づけの本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来、僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古のカローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した……。表題作のほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇を収録した短編集。
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