
カラー版 名画を見る眼 Ⅱ 印象派からピカソまで (岩波新書)
高階 秀爾
累計読者数3
平均ハイライト数 12.7件/人
star総合評価 48/100
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この本について
日々忙しくしていると、目の前のものを「わかったつもり」で流してしまうことが多い気がします。アートもそのひとつで、きれいだなと思いつつ、なぜそう感じたのかまでは立ち止まれないまま終わってしまう。自分もそうだったのですが、この本はその曖昧さをほぐしてくれるところがあります。 読んでいて印象的だったのは、絵を“情報”ではなく“感覚の積み重ね”として見られるようになることです。例えば、モネが人物を描くのをやめていった理由を「光の中で人物が溶けてしまう」という視点で説明してくれると、ただの技法の話ではなく、画家が何に限界を感じ、どんな世界を見ていたのかが立体的に見えてくる。また、セザンヌがモデルのわずかな姿勢や感覚の揺れまで画面に同時に残そうとした話は、観察の解像度そのものを考え直すきっかけになります。さらに、ルソーの“夢と現実が地続きになってしまう”描き方を知ると、絵を見るときの基準ががらっと変わります。 ひと言でまとめると、「名画をどう見るか」というより、「なぜその絵がそう見えるのか」を具体的に取り戻してくれる本です。表現の裏にある“視点の癖”まで踏み込んで説明してくれるので、鑑賞の時間がいつもよりゆっくり流れるようになる感覚がありました。 自分と同じように、作品の前でなんとなく立ち尽くしてしまう人に向いている一冊だと思います。
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