
源氏物語 全編 与謝野晶子訳
紫式部 and 与謝野晶子
この本について
人間関係で気持ちが揺れたり、相手の気まぐれに翻弄されたり、説明のつかない惹かれ方をしてしまったり。大人になっても、こういう感情の波にうまく名前がつけられないまま過ごしてしまうことがあります。落ち着きたいのに落ち着かない、理屈では片づかない。そういう時に、与謝野晶子訳の『源氏物語』は、自分の感情を少し外側から眺める視点をくれます。 保存されていた抜粋を見ていると、恋の高揚よりむしろ「惑い」のほうに読者の気持ちが動いているように見えます。朝顔の姫君への距離感や、夕顔の死に触れたときの源氏の無力さ、どこか欠点のない妻を持ちながら他の人に心が動く自分への戸惑い。そのどれもが、千年前の物語なのに今の私たちの迷いと重なってくる。読んでいると、恋愛そのものより「どうしようもなさを抱えた人間の姿」が静かに立ち上がってきます。 この本が効くのは、まず、自分がいま抱えている気持ちに過度な答えを求めなくなること。登場人物たちも明確な理由がわからないまま心を揺らし、時に失い、時に後悔している。その姿を見るだけで、自分だけが未熟なのではないという安心が少し出てきます。もう一つは、相手の感情の複雑さを想像する余裕が生まれること。与謝野晶子の訳は情景や心の動きを丁寧に拾ってくれるので、登場人物の「言葉にならない部分」を自然と追いかけてしまうんです。 刺さるのは、恋愛に限らず「人の気持ちの扱い方にいつも迷ってしまう人」。物語として読むというより、人の心の歴史をのぞきにいくつもりで手に取ると、いまの生活にひそかに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
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