
田辺聖子の小倉百人一首 (角川文庫)
田辺 聖子
累計読者数6
平均ハイライト数 3件/人
推定読了時間 約11時間55分
star総合評価 32/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 22%
この本について
仕事でも日常でも、人との距離感をどうつかめばいいのか分からなくなる時があります。気持ちがあるのに言葉にできなかったり、逆に何も言えないまま時間だけが過ぎたり。そういう「うまく扱えない感情」にモヤッとしたまま過ごしてしまうことが、僕はよくあります。 田辺聖子さんの百人一首は、そのモヤモヤに少し風を通してくれる感じがあるんですよね。古典なんだけど、ぜんぜん“昔の話”ではなくて、吸う息吐く息の延長にある恋や迷いがそのまま転がっている。例えば「黒髪の みだれもしらず…」みたいな、ふと横になった時に思い出してしまう誰かのこと。あるいは「子はまさりけり」と、気持ちが自分の手を離れていく瞬間。こういう心の動きを、無理に説明しなくていいんだと教えてくれる。 もうひとつ救われるのは、百首を“ひとつの巨大な情念の世界”として読むという視点でした。一首ごとに意味を切り分けるのではなく、配置や連なりで読み解くという考え方が、感情の整理にも似ていて、全部を正しく理解しなくてもいいんだと思わせてくれます。 「人の気持ちの複雑さに、ちょっと疲れている人」に刺さる本です。古典を読むというより、千年前の誰かと同じため息をついてみる感覚に近いかもしれません。
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