
むかし・あけぼの 上 小説枕草子 むかし・あけぼのシリーズ (角川文庫)
田辺 聖子
文藝春秋 / 201604
累計読者数3
平均ハイライト数 1.7件/人
star総合評価 35/100
boltライト読書型
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この本について
人の気持ちに振り回される時って、自分の感情すらうまく扱えなくて、「なんでこんなことで落ち込むんだろう」と思うことがあります。気を遣いすぎたり、場に合わせるうちに、自分の素直さや可愛げみたいなものが薄まっていく気がして焦ることもあります。でも、それをどう言語化すればいいのかが、いちばん難しいんですよね。 田辺聖子さんの『むかし・あけぼの』は、まさにそこを丁寧にすくい上げてくれる小説でした。清少納言の目線を借りながら、「悲しいという気もちを見つめている、もう一人の自分」といった感覚が、そのまま地続きの体験として描かれています。落ち込む自分をただ批判するんじゃなくて、もう一歩引いたところから扱う余裕って、実は生きていくうえでかなり大事なんだよな、と思わされます。 それから、「環境に合わせて変質していく可愛いげは本物じゃない」という一文も、仕事でも人間関係でも無理に”良い人”を演じ続けてしまう人にはかなり刺さるはずです。自分をすり減らす前に、一度立ち止まって視点を戻してくれる。貴族社会という全く違う時代なのに、妙に現実の悩みに寄り添ってくるのが不思議です。 こんな人に刺さると思います。自分の気持ちを丁寧に扱いたいけど、日々の流れに負けてつい雑にしてしまう人。平安の物語を借りているのに、現代の悩みにやわらかく効く一冊でした。
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