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アイルランド紀行 ジョイスからU2まで (中公新書)

アイルランド紀行 ジョイスからU2まで (中公新書)

栩木伸明

中央公論新社 / 2012-09

累計読者数3
平均ハイライト数 4.3件/人
推定読了時間 約4時間46分
star総合評価 33/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%

この本について

ときどき、自分の立っている場所の「来歴」がよく分からなくてモヤっとすることがあります。旅先でもそうだし、住んでいる街でもそうですが、目の前の景色がどんな時間の層の上に立っているのかが分かると、ちょっとだけ視界が変わるんですよね。でも、歴史書を一冊読むほどの気力はないし、観光ガイドの情報では物足りない…という日もあると思います。 この本は、まさにその間の温度で寄り添ってくれるタイプでした。聖母図像やケルトの語り部ディンシャナヒーの話のように、ほんの一点を丁寧に拾いながら、その背景にある物語まで手を引いてくれる感覚があります。ジョージアン建築がスラム化した過去や、ボイン川の戦いの余韻が街に残っているという記述も、ただの歴史知識ではなく、いま目にする風景の裏側を照らす実感として読めます。ギネスの注ぎ方ひとつで街の空気を感じ取れる、ああいう細部の描写も個人的にはけっこう効きました。 映画や詩の引用が多いのもありがたくて、「その時代に生きた人のまなざしってこんな感じか」と、視点をそっと切り替えてくれる。大きな結論に導くような本ではないけれど、土地と人の歴史が静かに積み重なっていく感じが、不思議と自分の生活にも戻ってきます。 地図の上の距離よりも、「場所に染みこんだ時間」が気になる人に刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

北海道より少しだけ広い島国だが、魅力を表す言葉は果てを知らない。それがアイルランド。ケルト文明の地、スウィフト、ワイルド、イェイツ、ジョイス、ベケット、ヒーニーらによる世界文学の生地、ヴァン・モリソンやU2が歌い上げる音楽の島、「虐げられてへつらう者たち」、英国からの独立闘争の国―。一木一草に至るまで言葉が刻まれているこの土地を、達意のエッセイと美味しい訳文でまるごと味わい尽くす。
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