
チェ・ゲバラの遥かな旅 (集英社文庫)
戸井十月
この本について
忙しさに追われていると、自分が何に向かって動いているのか分からなくなる時があります。判断に迷ったり、周りの大きな流れに流されてしまったり。強い意志なんて持てていない気がして、なんとなく自己嫌悪になるあの感じです。そんなときに思い出したのが『チェ・ゲバラの遥かな旅』でした。革命家というより、一人の人間がどう迷い、どう立ち上がっていったのかが淡々と描かれていて、肩の力が抜ける読み方ができました。 この本が効くと思ったのは、まずゲバラの「素直にぶつかる姿勢」が妙に現実的だからです。異国の要人を前にしても、遠慮せずに疑問を投げ、ユーモアも交えて議論する。あれほどの覚悟を持つ人でも、最初から強かったわけではなく、世界と対話しながら形作られていったんだと分かると、自分の迷いや未熟さもそこまで悪いものに思えなくなります。さらに、忙しさの合間に数学や経済を学び続け、本を読み続けた姿は、「知識で世界をつかもうとする人の営み」として静かに励まされる部分がありました。 そしてもうひとつ、旅の描写が強い印象を残します。草原の匂いやアタカマ砂漠の静寂、アマゾンの重たい緑。圧倒的な風景の中にいると、人間の決断や恐れがどう位置づけられるのかが少し変わってくる気がします。目の前の仕事でいっぱいいっぱいになったとき、このスケールの感覚は効きます。 「焦りながらも、自分なりに前へ進む方法を探している人」に刺さる本だと思います。ゲバラという巨大な存在を眺めるというより、同じく迷い続ける一人の旅人として読むと、意外なほど静かに背中を押されます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
読書の順序
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