
世界最高の日本文学~こんなにすごい小説があった~ (光文社新書)
許 光俊
累計読者数3
平均ハイライト数 5.7件/人
star総合評価 41/100
boltライト読書型
この本について
小説を読んでいて、「面白いはずなんだけど、なぜか心に入ってこない」と感じることがけっこうあります。忙しさのせいか、自分の感受性の鈍さなのか、そもそも作品選びが間違っているのか……と、ちょっとしたモヤモヤが積み重なっていく。僕もよくあります。読むことは好きなのに、なぜか作品との距離が縮まらない。 この本は、そんなときに“読み方を矯正する”というよりも、“文学の温度に自分を戻す”みたいな働きをしてくれました。たとえば、つまらないと思ったら読まなくていい、という当たり前だけど忘れがちな態度を思い出させてくれるし、人間のどうしようもない部分や、満たされなさそのものに触れるために小説を読むんだ、という視点をそっと差し出してくれる。作家の系譜や作品の背景が語られているのに、どこか読者の実感にも寄り添ってくれるのが心地よかったです。 さらに、鏡花の完璧な恋愛や、嘉村礒多のウジウジ、武者小路のどうしようもない主人公のように、「そんなの知らなかった」という作品が次々に出てくるのも魅力でした。どれも派手な感動を狙うというより、人間の悲しさや滑稽さに静かに触れさせてくれるタイプの文学で、読み終えるころには、自分が鈍っていた感覚が少し戻ったような気がします。 日本文学に興味はあるけれど、どこから触れていいのかわからない人、あるいは最近ちょっと心が乾いている気がする人には特に刺さると思います。
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