
口語訳 遠野物語 (河出文庫)
柳田国男, 佐藤誠輔, and 小田富英
累計読者数3
平均ハイライト数 18.7件/人
star総合評価 52/100
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この本について
日々の仕事に追われていると、自分が立っている場所の由来とか、「いま見えている世界の外側」を考える余裕ってなかなか持てませんよね。目の前のことばかり追いかけていると、世界が平板に見えてくるというか、ちょっとした違和感も流し込まれていく感じがあります。 『遠野物語』を読むと、その平板さにひびが入ります。読者の方が保存していた抜粋の多くが、ザシキワラシや神隠し、山男にさらわれた娘など、“人と世界の境目が曖昧になる瞬間”に関するものなのが象徴的だなと思いました。怖いようでいて、どこか生活の延長にあるような語り。その土地で生きてきた人たちの「世界の見方」が、静かに滲んでいます。 個人的に効いたのは、こうした話が特別なものとして語られるのではなく、「今も続いている事実」として扱われている視点でした。山に入るときの慎重さとか、亡くなった人を弔いたい気持ちとか、家に泊まるときの小さな緊張とか。そういう感覚が、時代を超えて息づいていることが伝わってきて、自分の生活にも同じような“見えない前提”があるんだろうなと考えさせられます。 昔話を知りたい人よりも、「自分が見ている世界がすべてじゃない気がしている人」に刺さる本です。遠くの土地の話なのに、読んでいると自分の足もとが少しだけ変わって見える。そんな体験をしたい時にちょうどいい一冊でした。
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