
遠野物語remix (角川文庫)
京極 夏彦 and 柳田 國男
KADOKAWA
この本について
最近、昔から続く土地の話や伝承に触れると、自分の生活とまったく別世界のようで距離を感じる一方で、「でも、なぜか気になる」という瞬間がありませんか。忙しい日常の中で、説明のつかない違和感とか、ルーツのようなものにふと手が伸びてしまう感じです。僕もよくあって、そんな時に読むものとしてちょうどよかったのが『遠野物語 remix』でした。 この本が面白いのは、百年前の語りを尊重しつつ、京極夏彦さんが「感じたまま」を添えているところです。過去の言葉がそのまま残っているから、昔の人が何を見て、どう驚いて、何を大事にしていたのかが手触りとして届くんですよね。湖が干上がって村になった話や、地名の裏にある小さな場面。淡々としているのに、そこに居合わせたような感覚があって、自分の生活と地続きに思えてくる瞬間がありました。 読んでいて一番効いたのは、「同じ土地にも、こんなに多層の時間が積み重なっていたのか」と気づけたことです。馴染みある地名の裏側に、人の声や勘違い、習慣や誤解まで全部混ざって残っている。その視点を持つと、普段見ている景色も少しだけ立体的に見えるようになるんですよね。何かを信じ切る必要もなくて、ただそこに転がっている話を受け取るだけで十分という距離感も心地よかったです。 昔話をただの「昔のこと」で終わらせたくない人に向いていると思います。自分が立っている場所が、ほんの少しだけ違う深さを持って見えるようになる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
読書の順序
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