
ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
岩井 志麻子 and 甲斐庄 楠音
KADOKAWA
累計読者数7
平均ハイライト数 5.6件/人
推定読了時間 約2時間23分
star総合評価 47/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 35%
この本について
日々をちゃんとやっているつもりでも、ふと「自分の狭い視界の外側では、どんな世界が広がっているんだろう」と不安になることがあります。見えているつもりで見えていないものがある気がして、でもそれを言葉にするほどでもない…そんな曖昧なざわつきです。 『ぼっけえ、きょうてえ』の抜粋を見ていると、そのざわつきの正体に手を触れられたような感覚がありました。透ける空の青さや、藁葺き屋根の崩れた集落の風景、隔離された人々の暮らし。特別な事件というより、そこに生きる人の息づかいや、どうしようもない周縁の感情がじわっと染みてきます。役場の小さな権力や、妾の身体に触れる加減のわからなさ、優越と劣等が綯い交ぜになった語り癖。こういう「人の暗さ」は、自分の中にもあるものだと気づかされます。 この本が効くのは、世界の残酷さをただ怖がるのではなく、「人の弱さの積み重ねが風景をつくる」という見方を与えてくれるところだと思います。恐怖というより、視界が少し広がる感じに近い。閉じた村の空気を真正面から描くことで、自分の生活の中で目を逸らしてきた部分にも少し触れやすくなる。そうした静かな変化が起こります。 日常の温度とは違う場所の息づかいに触れて、自分の感覚を揺らしてみたい人に刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
「教えたら旦那さんほんまに寝られんよになる。……この先ずっとな」時は明治、岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。
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