
パブリックスクール ―群れを出た小鳥― (キャラ文庫)
樋口美沙緒
徳間書店 / 2015-11-30
この本について
人間関係って、近づきたいのに近づけなくて、でも放っておくこともできなくて……みたいな詰まり方をすることがありますよね。相手の言葉ひとつで揺れて、こちらの気持ちも言い切れないまま乱れる。あの感じを言語化できなくて、ただ疲れてしまう日もあると思います。 『パブリックスクール ―群れを出た小鳥―』の抜粋を見ていると、読者が刺さっているのは「好きだからこそ不器用になる二人のズレ」と「どうしようもなく相手を求めてしまう自分」なんだろうな、と思います。エドの独占欲や怒りの裏にある不安、レイの“叶わなくても恋は終われない”という諦めにも似た愛情。その両方が、理屈より体感として届いてくるところが、この作品の強さです。 この本が効くのは、まず、自分の“言葉にならない感情の渋滞”をそのまま描いてくれるところ。まともに話し合えない二人を見ていると、感情の正解を探さなくてもいいのかもしれない、と少し肩の力が抜けます。そして、愛され方・愛し方が分からなくて迷ってばかりのエドの姿は、誰かとの距離に戸惑っている自分をそっと受け止めてくれるようなところがあります。さらに、後戻りできない恋に落ちてしまったレイの視点が、「叶う恋かどうか」で人間の気持ちは動かないという、当たり前なのに忘れがちな事実を思い出させてくれます。 こんな人に刺さると思います。誰かとの関係でつまずいた経験を、まだ自分の中でうまく処理できていない人。物語という形で、その迷いをそっと照らしてくれる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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