
次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)
柴崎友香
河出書房新社 / 2006-03-20
この本について
人間関係って、はっきり言葉にできない気持ちのまま流されていくことが多いですよね。誰かを好きになったり、少し距離を置きたくなったり、本当は欲しいものが別にあったり。その場しのぎでやり過ごせても、心のどこかに「これ、どう扱えばいいんだろう」というモヤモヤが残る。僕も何度もそうで、正解がわからないまま進んでしまうタイプです。 『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』は、その曖昧さの中にある“微妙な手触り”だけをすくい取ったような小説でした。読者の方が保存していた抜粋を見ても、特に刺さっていたのは「好きかどうか」「傷つくほどじゃないけど忘れたくない感情」「相手を願う気持ちのゆらぎ」みたいな、説明しづらい領域なんですよね。高速道路の退屈さとか、手の形をじっと見てしまう感じとか、深夜のサービスエリアの静けさとか、ああいう“場面で思い出す感情”がこの本にはたくさんある。 読んでいて思ったのは、気持ちを結論づけなくていいという安心感でした。相手を好きだと自覚する瞬間がやけに遅れてやってくることもあるし、嫉妬が湧いてもおかしくない場面で、なぜか「晴れたらいいのに」と願う不思議さもある。それらを「こういうこともあるよね」とそっと横に置いてくれる。自分の感情を“整理する”というより、“そのまま置いておける棚”を作ってくれる感じです。 こんな人に刺さると思います。自分の気持ちをうまく言語化できないまま生きてきた人。読後、少しだけ世界の輪郭がやわらかくなります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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