
なぜ日本は没落するか (岩波現代文庫)
森嶋 通夫
岩波書店 / 2010-07-16
この本について
最近、「なんとなく社会全体がうまく噛み合っていない感じ」が拭えないまま日々を過ごしている、という声をよく聞きます。世代間で価値観がズレていたり、学校で習った“建前”と大人の世界の“本音”がまったく別物だったり。自分が迷っているのか、社会が迷っているのか、その境界すら曖昧になるときがあります。 森嶋通夫『なぜ日本は没落するか』は、そのモヤモヤを横から強引に晴らすタイプの本ではなく、「そもそもこのズレはどこから始まったのか」を静かに突き止めていく一冊です。読者が保存していた抜粋にもあったように、戦後教育が価値判断力を弱めた話や、子ども時代の教育と大人社会の行動原理が噛み合っていない構造など、身に覚えのあるズレが歴史的な背景とセットで説明されていきます。自分の“生きにくさ”が個人の能力や性格ではなく、もっと大きな流れの中で生まれたものだと分かるだけで、視点の位置が少し変わる感じがあります。 また、この本は経済や政治を論じているようでいて、「最終的には人間そのものの変化が社会を形づくる」という視点を貫いています。だから読み終わると、国や制度の話をしているのに、自分の周りの小さなコミュニティや職場の空気まで照らされるような感覚があります。個人の努力だけでは説明できない違和感を抱えてきた人ほど、腹の底で納得するところがあると思います。 「世代間の価値観の断絶にずっと引っかかりがある人」に静かに刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
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