
恋愛中毒 (角川文庫)
山本 文緒
KADOKAWA / 2002-06-25
この本について
人間関係って、表向きは何とか保っているつもりでも、気づけば「自分だけが溜め込んでいるんじゃないか」とか「結局わかってもらえないまま続けてしまったな」とか、後からじわっと後悔が押し寄せることがあります。誰かに甘えてほしくて尽くしたはずが、いつの間にか自分の気持ちを後回しにしていた…そんな経験、少しでもある人にはこの物語が刺さると思います。 『恋愛中毒』の抜粋を見ていると、読者が惹かれているのは派手な恋愛劇ではなく、相手に合わせ続けて自分の輪郭が曖昧になっていく瞬間や、「他人なのに他人じゃない」と錯覚してしまう距離感のズレです。登場人物たちは皆、どこかで信じたいことと現実のあいだで立ち止まり、自分の選択を“また破ってしまう”苦さを抱えています。この揺れ方がとても現実的で、読みながら自分の過去の判断を静かに振り返らされる感覚があります。 特に効いてくるのは、家族や恋人のように近い相手でも、本当のところは理解し合えないまま続いてしまう関係の描き方です。言葉を交わしていても埋まらない距離、相手の笑顔に潜む飢えのようなもの、自分が差し出した“味方でいようとする気持ち”の限界。それを丁寧に描いているからこそ、自分はどんな期待を抱いて、どこで誤解したのかを少し冷静に見つめられます。 恋愛に限らず、「相手に合わせる癖が抜けない人」「家族ともどこか噛み合わないまま大人になった人」には、静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
読書の順序
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