
絶対泣かない (角川文庫)
山本 文緒
KADOKAWA / 2025-11-25
この本について
人と比べて落ち込む日ってありますよね。強く見えるあの人に憧れつつ、実は自分の弱さや見栄、プライドの扱い方が分からないまま大人になってしまったような気がして。誰かの言葉に傷ついたり、逆に自分の未熟さにふいに気づいてしまったり。そういう揺れを抱えたまま仕事や人間関係を続けていると、ふと「私はどこでつまずいたんだろう」と立ち止まりたくなる瞬間があります。 『絶対泣かない』は、その立ち止まりの瞬間にそっと寄り添ってくる物語でした。登場人物たちは皆、つよがったり、嫉妬したり、誤解したり、思い込みで人を遠ざけたりします。でも、その不器用さの奥にある「本当はこうしたかった」気持ちが少しずつ表に出てくる場面が多くて、読んでいるこちらまで自分の過去の失敗を思い出して胸が熱くなるんです。たとえば、人の言葉の裏を受け取れずにすれ違ってしまう場面や、見栄に囚われて大事な人に踏み込めなかった後悔など、特別な出来事ではないのに妙に刺さります。 この物語が効くのは、自分の弱さを否定せずに受け止めるきっかけをくれるところです。強くなろうと背伸びするのではなく、「ああ、みんなこんなふうに揺れながら生きているんだよな」と視点を少しだけ緩めてくれる。誰かの言葉に救われたり、救ったつもりもないのに誰かの背中を押していたり、そういう小さな出来事の積み重ねで人は変わるんだと気づかされます。 「自分の不器用さを抱えたままでも前に進みたい人」に静かに届く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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