
きっと君は泣く (角川文庫)
山本 文緒
この本について
人と比べて落ち込んだり、誰かの何気ないひと言に必要以上にざわついたり、自分の見た目や家族のことを考えると胸が重くなることってありますよね。冷静でいたいのに、感情が勝手に動いてしまうあの感じ、僕もけっこう振り回されます。 『きっと君は泣く』の抜粋を並べてみると、読んだ人がどこで引っかかったのかがすごくよく見えるんです。外見をめぐる嫌なやり取りや、家族への複雑な感情、自分のことを正しく見られない苦しさ。綺麗ごとではなく、誰もが心の奥でうまく扱えずにいる部分を、この物語はそのまま置いてくる。読んでいてしんどい瞬間もあるけれど、だからこそ痛いところをうまく説明してくれているような感覚があります。 特に効いてくるのは、まず「人は自分のことをまともに見られない」という視点です。鏡に映っているはずなのに、見えているものは別物。誰かにそう言われるとハッとするし、そう思うだけで他人の態度への受け取り方が少し変わります。もう一つは、家族に対する“好きとも嫌いとも言い切れない感情”の描写。祖母や母への気持ちがこんがらがる場面は、自分の家庭のことをふと考え直すきっかけになるはずです。そして、誰かを見下して安心してしまう瞬間の醜さに気づく場面も、痛いけれど救われるところ。自分だけじゃなかったんだと、妙に落ち着きます。 自分の感情の扱いに時々迷子になる人には、特に刺さると思います。読んだあと、他人との距離の取り方や、自分の見え方へのこだわりが少しゆるむ。そんな物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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