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アートにとって価値とは何か

アートにとって価値とは何か

三潴末雄

累計読者数3
平均ハイライト数 18.3件/人
star総合評価 52/100
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この本について

アートについて考えるとき、「結局“価値”って誰が決めてるんだろう……」みたいなモヤモヤがつきまといますよね。マーケットの評価が先に立ってしまう感じや、欧米の“正史”に乗らないと相手にされない空気に、どこか息苦しさを覚えることがあります。作品そのものより “文脈ゲーム”が優先されているように見えて、理解したい気持ちと距離を置きたい気持ちが同居する。そんな揺れを抱えている人に、この本はかなり刺さります。 読んでみて強く感じたのは、「現代アートってもっと広くて複雑で、人間くさい営みだったんだ」という視点の変化でした。たとえば、ピカソでさえ古代の造形を大胆に拝借していた事実や、日本の作家たちが“欧米の正史”とは違う身体性の流れを積み上げてきたこと。あるいは、ガゴシアンのブランドが価値を生むという逆転現象への冷静な突っ込み。どれも、アートを遠くの世界に置かず、自分の現実と地続きのものとして見直すきっかけをくれます。 さらに、日本の文化が「古いものを発酵させ続ける」という独特の構造を持っていることが語られ、欧米の文脈に合わせるだけでなく、日本固有の感性をどう世界化していくかという視点も提示されます。マーケットや制度の話を扱いながらも、決して夢を見せすぎず、かといって諦めを強いるわけでもない。そのバランスがとても現実的でした。 アートを“理解したいけど飲み込まれたくはない人”、あるいは「価値って何だろう」と時々立ち止まってしまう人に、静かに効いてくる一冊だと思います。

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