
この本について
人と関わるとき、「正しいはずなのに言いづらい」とか、「みんなの空気に合わせているだけなのかもしれない」とか、後からじわっとモヤモヤする瞬間ってありませんか。わたしも同じで、誰かに注意する時の妙な居心地の悪さや、“絆”という言葉の前で反射的に黙ってしまう自分に何度も戸惑ってきました。 『反〈絆〉論』は、その曖昧な違和感にちゃんと名前をつけてくれる本です。たとえば、善意の顔をした圧力がどんなふうに個人を縛るのかを、日常の細かい場面から拾いあげてくれますし、注意する側にも必ず暴力が混じるという指摘には、わたし自身かなり背筋が伸びました。また、“みんな同じ気持ち”という空気が誰を置き去りにしているのかを考えさせられる場面も多く、集団の安心と個人のしんどさの両方を見つめ直すきっかけになります。 この本は、絆や善意そのものを否定するわけではありません。むしろ、「ゆるく関わる」ことで初めて守られる自由があることを丁寧に示してくれます。誰かに飲み込まれずに関わりたい、でも孤立したいわけでもない、そんな微妙な距離感で悩んでいる人にはとても刺さると思います。 “正しさ”に疲れてしまったり、集団の善意にどこか息苦しさを覚えているとき、少し視界がひらけるような一冊でした。
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