
働くことがイヤな人のための本: 仕事とは何だろうか
中島義道
この本について
仕事について考えるとき、どうしても「努力すれば報われるはず」とか「成功した人の言葉に答えがあるはず」といった物語に引っ張られてしまう瞬間があると思います。頭では世の中がそんなにきれいじゃないと分かっていても、納得できない理不尽さに触れると、つい自分を責めたり、逆に世の中を斜めに見てしまったり。その揺れをどう扱えばいいのか、僕自身ずっと迷ってきました。 中島義道さんの『働くことがイヤな人のための本』は、そのモヤモヤを力技で晴らす本ではありません。むしろ、「理不尽は理不尽のままそこにある」という前提に立ちながら、それでもどう自分の感情や位置を見つけていくかを、かなり丁寧に突きつけてきます。能力の不平等も、努力と結果のズレも、成功物語の偏りも、全部まとめて飲み込むのではなく、いったん立ち止まって細部を見る視線を取り戻させてくれる感じがあります。 特に刺さるのは、理不尽を否定も肯定もしない「二重のまなざし」を持つという話。成功者を持ち上げすぎず、失敗者を軽蔑せず、偶然と運に満ちた世界をそのまま見つめる態度。それだけで、他人の人生の音量に振り回されにくくなるんですよね。そして、自分の不器用さや弱さをそのまま素材にして生きるしかない、という静かな諦観も、どこか救いになってくれます。 「努力の物語だけではどうにも整理できない現実を抱えている人」に届く本だと思います。理不尽に押しつぶされそうなとき、この本の冷静さはじわっと効いてきます。
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ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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