
絵とは何か (河出文庫)
坂崎乙郎
この本について
都会で暮らしていると、ときどき「自分の感覚がどこか鈍ってきているな」と思うことがあります。仕事に追われて、想像する時間がなくなり、気づけば同じパターンで物事を判断している。創作をしている人だけでなく、日々の選択に窮屈さを感じている人なら、似たようなモヤモヤを抱えたことがあると思います。 坂崎乙郎『絵とは何か』は、絵の専門書というより、「人がどうやって自分の感覚を取り戻すか」を静かに考えさせてくれる本でした。読者が残している抜粋を見ると、刺さっているポイントはとても人間くさいところで、たとえば文明都市では想像力の時間が奪われることへの違和感や、対立概念を持てないと世界の見え方が平板になる感覚。また、一年間でも二年間でも、自分がこれだと思った方向に全力を投じるという、今だと逆にぜいたくに感じる生き方への憧れ。こういう「本当は薄々気づいていたけれど、自分では言い切れなかった部分」を丁寧に言語化してくれます。 この本は創作の指南書ではなく、もっと内側の話をしています。現実世界の外に小さな自分の世界を作るとはどういうことか。物質文明から少し距離をとるとはどういう感覚なのか。読んでいると、いまの生活のどこに自分の感覚が置き去りになっているのか、少しずつ見えてくる感じがありました。こんな人に刺さると思います。自分の中の「もう一つの世界」を取り戻したい人。 絵を描かない人でも、日常の景色が少し違って見えるようになる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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