
この本について
俳句に興味はあるのに、いざ自分で読むとなると「どこから味わえばいいのか分からない」「ただの五七五に見えてしまう」と感じることってありますよね。言葉が短いぶん、意味を追おうとしてもしっくりこなかったり、逆に深読みしようとして空回りしたり。僕もずっとその往復でした。 この本が面白いのは、名句を“鑑賞する力”を、具体的な言葉の扱いから掘り下げてくれるところです。たとえば、音の調子を実際に声に出して確かめる、当たり前すぎる語の組み合わせを一度解体してみる、季語にどんな言葉を寄り添わせたときに情景が立ち上がるかを比べてみる…。そういう細かな視点の差で、同じ一句がまったく違って見えてくる瞬間があります。そして読者が抜粋していたように、意外性の生まれる言葉の「ずれ」や、感情をあえて直接書かないことで伝わる余白にも触れてくれるので、俳句の読み方そのものが少しずつ変わっていきます。 俳句を“作る”人だけでなく、「ことばの質感にもう一度敏感になりたい人」に向いている本だと思います。ストーリーがないからこそ、言葉がどう働くかがむき出しになる。その面白さを、肩に力を入れずに味わわせてくれる一冊でした。
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