
地球にちりばめられて (講談社文庫)
多和田葉子
累計読者数5
平均ハイライト数 5.2件/人
推定読了時間 約6時間26分
star総合評価 42/100
boltライト読書型
この本について
最近、国とか会社とかコミュニティみたいな「枠」に、自分の居場所を合わせにいく感覚に疲れることがあります。どこに属していて、どこに帰るのか。そういう問いがふと浮かぶ日に、多和田葉子さんの『地球にちりばめられて』を読むと、少しだけ呼吸がしやすくなるんですよね。 この本が効くのは、何かをはっきり断言してくれるからではなく、むしろ「当たり前だと思っていた前提が、じつはそうでもない」と気づかせてくれるところです。たとえば、国が消えるってどういうことなのか、とか、英語ができることがどうして不安につながるのか、とか。一見すると大きな話に見えるけれど、読んでいるうちに、自分の日常の感覚に意外と近いところで響いてくるんです。「昨日あったものが完全に消えたら、昨日だって遠い昔」という一文なんて、環境が変わったときのあの妙な距離感そのままだなと感じました。 さらに、声の大きい人が評価されやすい今の空気の中で、黙々と働く人の静かな重みが描かれているのも救われます。自分の歩幅で生きていていいんだと思わせてくれるし、国境や制度の話をしているようで、じつは「人がどこにいると落ち着くのか」という根源的なテーマに触れている本です。 こんな人に刺さると思います。場所や肩書きで自分を説明するのがしんどいとき、でも立ち止まり方もよく分からないとき。そんなタイミングで読むと、世界の見え方が少し変わるはずです。
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出版社による紹介
留学中に故郷の島国が消滅してしまった彼女は、同じ母語を話す者を捜しに、大陸をわたる旅に出る。言葉のきらめきを発見する越境譚。
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