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優しい地獄

優しい地獄

イリナ・グリゴレ

亜紀書房 / 2022-07-21

累計読者数4
平均ハイライト数 4.8件/人
推定読了時間 約2時間26分
star総合評価 37/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 14%

この本について

言葉にできない感覚を抱えたまま、仕事でも人間関係でも「うまく伝わらない」とモヤモヤすること、けっこうありませんか。私も似たような壁にぶつかるたびに、自分の身体ごと世界から浮いている気がしていました。 『優しい地獄』は、その「浮き上がる感じ」を無理に整えようとしないで、そのまま見つめる視点をくれます。著者が日本語という異国の言葉に出会い、自分の身体に合う表現を取り戻していく描写は、言語ってただの道具じゃなくて、生き方そのものなんだと気づかされます。また、家族との関係や暴力の経験を通して、身体がどれだけ正直に世界に反応しているかが描かれていて、頭だけで理解しようとしていた自分に「もっと身体の声を聞け」と言われたような気がしました。さらに、桜やミツバチの場面のように、命の終わりや循環を静かに見つめる描写が続くことで、自分がどこに帰属していいかわからない感覚も、少しだけやわらかくなる本です。 自分の居場所がわからないまま、それでも前に進みたい人に刺さると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

『雪国』を読んだ時「これだ」と思った。 私がしゃべりたい言葉はこれだ。 何か、何千年も探していたものを見つけた気がする。 自分の身体に合う言葉を。 -------------------------------------- 社会主義政権下のルーマニアに生まれたイリナ。 祖父母との村での暮らしは民話の世界そのもので、町では父母が労働者として暮らす。 川端康成『雪国』や中村勘三郎の歌舞伎などに魅せられ、留学生として来日。 いまは人類学者として、弘前に暮らす。 日々の暮らし、子どもの頃の出来事、映画の断片、詩、アート、人類学……。 時間や場所、記憶や夢を行ったり来たりしながらつづる自伝的なエッセイ。 《本書は、社会にうまく適応できない孤独な少女の記録であり、社会主義から資本主義へ移っていくルーマニアの家族三代にわたる現代史でもある》 -------------------------------------- 五歳の娘は寝る前にダンテ『神曲』の地獄の話を聞いてこう言った。 「でも、今は優しい地獄もある、好きなものを買えるし好きなものも食べられる」。 彼女が資本主義の皮肉を五歳という年齢で口にしたことにびっくりした。 ——本文より -------------------------------------- 【目次】 ■生き物としての本 上 ■生き物としての本 下 ■人間の尊厳 ■私の遺伝子の小さな物語 上 ■私の遺伝子の小さな物語 下 ■蛇苺 ■家 ■マザーツリー ■無関心ではない身体 ■自転車に乗っていた女の子 ■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 上 ■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 下 ■なんで日本に来たの? ■シーグラス ■ちあう、ちあう ■透明袋に入っていた金魚 ■社会主義に奪われた暮らし ■トマトの汁が残した跡 ■冬至 ■リボンちゃんはじめて死んだ ■毎日の魚 ■山菜の苦味 ■優しい地獄 上 ■優しい地獄 下 ■パジャマでしかピカソは描けない ■紫式部 ■あとがき
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