
官能小説「絶頂」表現用語用例辞典 (河出文庫)
永田守弘
河出書房新社 / 2021-10-06
この本について
創作まわりの話をしていると、「頭ではなんとなくイメージできるのに、いざ言葉にしようとすると急に手が止まる」という相談をよく聞きます。勢いで書きたいのに、語彙が足りない感じがして流れが途切れる。自分でももどかしいし、読み手にも伝わりにくくなるあの感覚、わりと共通の悩みなんじゃないかと思います。 今回の抜粋を見ていて感じたのは、読者の方は“ニュアンスの精度”に刺さっているということでした。たとえば「翻弄され、息も絶え絶え…」のようなリズムのある描写や、「目を開くと、白濁…」のように一語で雰囲気を決めてしまう言い切り。この本は、その一歩先で迷ったときに、具体的にどう言い換えればいいのか、どんな表現が持つ響きがどう違うのかを丁寧に拾ってくれる辞典です。過度に技巧的な指南ではなく、実際の用例とニュアンスの差を確かめながら、自分の文章にフィットする言葉を探せる実用書に近い存在です。 とくに、同じ意味を示す語でも「強さが違う」「湿度が違う」「スピード感が違う」といった細かな温度差を確認できるので、自分の書きたいトーンに寄せやすくなります。結果として、無理な盛り上げに頼らず、キャラクターの身体感覚や情景の繋がりを自然に書けるようになる。言葉を探す時間が減るぶん、物語の流れを途切れさせずに済むのも大きいところです。 創作で「雰囲気は浮かぶのに、言葉が追いつかない」と悩む人にはかなり刺さると思います。抽象的な発想術というより、手元で何度も引くタイプの本なので、迷って立ち止まる時間を減らしたい人にはちょうどいい相棒になります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの60%が集中しています。
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