
たとえる技術
せきしろ
文響社 / 2016-10-12
この本について
言葉に迷う瞬間って、日常のあちこちにありますよね。伝えたいことはあるのに、しっくりくる表現が出てこない。仕事でも雑談でも、なんとなく同じ語彙をぐるぐる回してしまう感じ。自分もずっとそのモヤモヤを抱えていて、「もっと違う視点があればな」と思っていました。 『たとえる技術』を読んで気づいたのは、面白いたとえってセンスじゃなくて、視点の置き換えで生まれるんだということでした。例えば「片づけられた大宴会場のように広い」とか「視聴覚室のカーテンのように黒い」とか、あの妙に具体的で、生活のどこかに転がっていそうな感覚。あれは対象との距離をちょっと変えるだけで出てくる、と本書は丁寧に見せてくれます。しかも「アイドル→女性→人間→動物→生物→地球」と、段階的に遠ざけることでイメージが広がる説明がすごく腑に落ちました。自分も仕事の文章で詰まった時、この距離のとり方を意識すると言葉が動き出す感じがあります。 それに、オリジナリティを出すと言っても、気負う必要はないんですよね。スペインのトマト祭りや突然の自習、地方のコンビニの駐車場。自分の中にだけ眠っていた記憶をそっと取り出すだけでいい。本書はそれを無理なく手伝ってくれます。言葉の飾りつけが過剰になってしまうと疲れる、という現実的な距離感も書かれていて、そのバランス感覚に助けられました。 「語彙を増やしたいけど、辞書を眺めてもピンとこない」というタイプの人に刺さる本だと思います。自分の生活から言葉を拾っていきたい人には、かなりしっくり来るはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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