
この本について
最近、「休んでいるはずなのに回復しない」「何もされていないのに常に追われている感じがする」という声をよく聞きます。自分の意思で頑張っているつもりなのに、気づけばずっと自分を急かしていて、どこでブレーキを踏めばいいのか分からなくなる。僕自身、この感覚から抜け出せずにいた時期が長くありました。 『疲労社会』を読んで刺さったのは、いま感じている疲れが「怠さ」ではなく、社会の構造と結びついた“肯定の過剰”だと説明されていたところです。やればやるほど褒められるし、自由に選んでいるつもりで、実は選ばされている。その結果として、自分で自分を搾取してしまう仕組みがある。これは努力を否定する話ではなく、「止まれなくなっている状態」をいったん見つめるための視点でした。 もうひとつ大きかったのが、“何もしない時間”が単なる休憩ではなく、創造や回復のための条件として語られていた点です。いまの社会は合間の時間がほとんどなくて、注意は常に細切れに奪われていく。でも、本当に新しいことを始めるには、いまやっていることを止められるかどうかが決定的になる。これを読んでから、僕は意識的に「使えない時間」を作るようになりました。たいそうな行動ではなく、散歩してスマホを見ないだけでも、思考の密度が変わります。 仕事の意味づけや休むことにうまく折り合いがつけられない人には、とくにしっくりくると思います。読んだあと、がむしゃらな頑張り方をほんの少し緩めてもいいかもしれないと思える本でした。
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