
動物には何が見え,聞こえ、感じられるのか 人間には感知できない驚異の環世界
エド・ヨン and 久保尚子
この本について
仕事でも生活でも、つい「自分の感覚だけが基準」みたいになってしまうことがあります。相手の考えがどうしても理解できなかったり、世界が自分の見えている範囲でしか回っていないように感じたり。頭では多様性が大事と言いつつ、実際には視野が狭くなっている瞬間がけっこうあるんですよね。 この本を読んで驚いたのは、「視野が狭い」という言葉が、比喩じゃなく物理的な話として自分に返ってきたことです。動物は種ごとにまったく違う知覚の世界を生きていて、その“環世界”が思考や行動の幅まで決めている。魚が陸に上がって遠くを見渡せるようになったことで、未来を見通す知性が育ったという話は、自分の“見えている範囲”がどれだけ思考を形づくっているかを静かに突きつけてきます。また、ウミガメやクジラや犬の例のように、人間基準の感覚がどれだけ他の存在を傷つけているかを知ると、日常での「当たり前」も少し疑ってみたくなる。 この本が効くのは、世界の見方を大きく変えるというより、自分の足元にある思い込みにそっと手を当ててくれるところです。相手の行動が読めないとき、あるいは自分の考えが行き詰まったとき、「そもそも見えている世界が違う」という前提に立つだけで、関わり方が変わる。視覚中心の人間のクセに気づくことは、他者理解というより、まず自分の理解のために必要なんだと思わされました。 生き物の話が好きな人より、「自分の思考の狭さをそっと広げたい人」にこそ刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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