
敗戦とトラウマ
浜崎洋介
ビジネス社 / 2025-08-05
この本について
最近、日本という国の立ち位置について考えるたびに、どこか地に足がつかないような感覚になることがあります。戦後の価値観で育ったはずなのに、ニュースを見れば「それだけではもう説明がつかないよな」と思う場面も増えてきて、モヤモヤが積み重なっていく。そんなときに手に取ると、少し視界が広がるのが『敗戦とトラウマ』でした。 この本が効くのは、歴史の専門知識というより、「自分たちがなぜこういう感覚を抱えているのか」を丁寧に言語化してくれる点だと思います。たとえば、戦後の日本人が自覚しないまま引きずってきた“退却の下手さ”や、アメリカへの依存と、戦没者を含む自国への距離の取り方。そのギャップを無理やり抱えた結果としての自己喪失感まで、読みながら「ああ、こういう根っこがあったのか」と少しずつ腑に落ちていきました。 もうひとつ救われたのは、ここで語られる「歴史を都合よく塗り替えるでも、罪を押しつけるでもない向き合い方」です。過去と感情を自分のものとして受け止めるという、派手さのない姿勢が、今の揺れやすい時代にもそのまま通用する気がします。大きな話をしているようで、実は「自分がどこに立っているのか」をもう一度確かめるための本でもあります。 国の話題に触れるとしんどくなる人や、戦後という言葉がどこか遠く感じられてしまうけれど、その影響だけは確実に受けている気がする人に、静かに刺さる一冊です。
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