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或阿呆の一生

或阿呆の一生

芥川 竜之介

累計読者数3
平均ハイライト数 2件/人
star総合評価 28/100
boltライト読書型

この本について

仕事や生活はそれなりに回っているのに、ふとした拍子に「なんで自分はここにいるんだろう」と沈む瞬間ってありますよね。うまく説明できない憂鬱だけが体の内側でざわついて、誰にも言えないまま流してしまう。そんなときに思い出したのが、芥川龍之介の「或阿呆の一生」でした。 主人公が椰子の花を想像して、喉の奥に言葉にならない痒さを覚える場面があります。大げさな事件が起きるわけじゃないのに、その一瞬のざらっとした感覚が妙に生々しいんです。自分でも説明できない不安や焦りって、だいたいこんなふうに突然やってくるよな…と、読んでいて変に肩の力が抜けました。 また、子どもが生まれた場面で「何のためにこの子は生まれてきたのか」「自分のような父になる運命を背負わせてしまったのか」と立ち尽くす描写があります。喜びより先に戸惑いや後ろめたさが出てしまう感じに、逃げずに向き合おうとする人間の弱さと誠実さがにじんでいて、妙に救われるんですよね。正しい答えが出ないままでも、生きている以上こういう揺れは避けられないんだなと静かに受け入れられるというか。 自分の内側のモヤモヤを「ないこと」にせず、形のないまま見つめたい人に刺さる一冊です。

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