
バゴンボの嗅ぎタバコ入れ
カート ヴォネガット, 浅倉 久志, and 伊藤 典夫
早川書房 / 2007-09
この本について
仕事でも人間関係でも、「この状況、なんでこんなに息が詰まるんだろう」と思うことがあると思います。相手が悪いとか、自分が弱いとか、そういう単純な話じゃなくて、もっと言葉にしづらい重たさがある感じです。今回の抜粋を読んでいて、その正体の一部は“他人の存在そのものが現実世界では負荷になりうる”という視点なんだろうな、とあらためて思いました。 『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ』はエッセイとフィクションが混ざったような本ですが、ヴォネガット自身の実感がそのまま転がっていて、読んでいると肩の力がゆるむ瞬間が多いです。たとえば、GE社を辞めて最初の長篇を書くくだり。機械に仕事を奪われていく未来を、当時の会社へのあてこすりとして描いたという話は、今の自分たちが直面しているAIの不安と重なります。予言めいた話なのに、妙に生々しく、人間の弱さごと肯定してくれる感じがあるんですよね。 もう一つ刺さるのは、同世代のノーマン・メイラーとの対比です。同じような背景でも、片方はすでに名声を得ている。その事実を、妬みでも自己啓発でもなく、ただ「そういうものだよな」と淡々と受け止めているところが、この本の魅力だと思っています。自分の立ち位置が揺らぎやすい人ほど、こういう視点に救われるはずです。 こんな人に刺さると思います。自分の不安やみじめさを、物語と作者の素朴な視線でそっと整えたいとき。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
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