
今はじめる人のための俳句歳時記 新版 (角川ソフィア文庫)
角川学芸出版
累計読者数3
平均ハイライト数 14件/人
star総合評価 49/100
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この本について
季節の変わり目って、「あれ、今って冬だっけ春だっけ?」みたいな揺れが日常の中でふっと出てきますよね。忙しくしていても、玄関の暗さや水の重たさ、ちょっとした風の匂いに気持ちを持っていかれる瞬間がある。でも言葉にできずに流れていく。そのもやっとした感覚を拾い上げたいのに、語彙が足りなくて取りこぼしてしまう。僕自身ずっとそんな感じでした。 この歳時記が面白いのは、季語の説明以上に「具体的な情景の切れ味」に背中を押されるところです。例えば「冴え返る」「春きざす」みたいに温度の微妙な変化を言葉にしてくれたり、「水枕ガバリと寒い海がある」「沸くまでの水の重たき十二月」みたいに、生活の中の違和感を一瞬で掬い上げる一句が並んでいたりする。こういう言葉に触れると、自分の中の観察の解像度が勝手に上がっていくんですよね。季節を感じるアンテナを整える、みたいな感覚に近いです。 それに、読んでいるうちに「あ、これ、昨日の自分にもあった」と気づく場面が増えてきます。春めいた気配に気づける日もあれば、年の瀬の耳の奥のかさこそした感じを思い出す日もある。日常を流さずに拾い直すきっかけになるのが、この本の一番の効きどころだと思います。 日々の景色を少しだけ丁寧に受け取りたい人には、特にしっくりくる一冊です。
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