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わたしの好きな季語

わたしの好きな季語

川上弘美

NHK出版 / 2020-11-20

累計読者数4
平均ハイライト数 11.5件/人
推定読了時間 約3時間47分
star総合評価 47/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 30%

この本について

季節の変わり目って、仕事のことも人間関係も、なんとなく心がざわつきませんか。理由がわかるような、わからないようなまま日々を過ごしてしまう。そんな時に、ふとした景色や匂いに気持ちをすくわれる瞬間があるけれど、それをちゃんと言葉にできない自分にもどかしさを感じたりします。 川上弘美さんの『わたしの好きな季語』は、その“言葉にできない感覚”に、ゆっくり名前をつけてくれる本でした。たとえば、服が「痛たた」と叫ぶように見えてしまう視点や、つつじの整いすぎた姿に「すみません」と思ってしまう感覚。誰も来ない桜の下のテーブルのような、説明不能なのに忘れられない光景。こういう感覚って、理屈じゃなくて、でも確かに心のどこかに居座っているものですよね。季語や俳句を入り口にしながら、自分の中の“微妙な揺れ”に灯りを当ててくれる感じがあるんです。 読んでいると、季節の移ろいがただの風景ではなく、自分の記憶や気持ちとつながっていることに気付かされます。てんとう虫を腕にはわせて空へ飛ばす時の潔さや、春の風邪の妙な艶っぽさ、庭の得体の知れない植物に名前を見つけてもらう安心感。こういう具体的な場面が積み重なることで、自分の中にも同じような感覚が静かに生きていたんだと思わされるのです。 季節に振り回されがちな人、感情のゆらぎをうまく扱えないまま大人になってしまった人には、とくにしみる一冊です。自分の中の“言葉にならないもの”に、少しだけ呼吸を与えてくれる本でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

96の季語から広がる、懐かしくて不思議で、ときに切ない俳句的日常。 俳人でもある著者による初めての「季語」にまつわるエッセー集。散歩道で出会った椿事、庭木に集う鳥や虫の生態、旬の食材でやる晩酌の楽しみ、ほろ苦い人づきあいの思い出、ちょっとホラーな幻想的体験など、色彩豊かな川上弘美ワールドを満喫しながら、季語の奥深さを体感できる96篇。名句の紹介も。 「蛙の目借時」「小鳥網」「牛祭」「木の葉髪」「東コート」。それまで見たことも聞いたこともなかった奇妙な言葉が歳時記には載っていて、まるで宝箱を掘り出したトレジャーハンターの気分になったものでした。(中略)それまで、ガラスケースの中のアンティークのように眺めてきたいくつもの季語を、自分の俳句にはじめて使ってみた時の気持ちは、今でもよく覚えています。百年も二百年も前につくられた繊細な細工の首飾りを、そっと自分の首にかけてみたような、どきどきする心地でした(本文より)。 ●春 日永/海苔/北窓開く/絵踏/田螺/雪間/春の風邪/ものの芽/わかめ/針供養/すかんぽ/目刺/朝寝/木蓮/飯蛸/馬刀/躑躅/落とし角/春菊/入学/花/春愁 ●夏 薄暑/鯉幟/そらまめ/豆飯/競馬/アカシアの花/新茶/てんとう虫/更衣/鯖/黴/こうもり/ががんぼ/蚯蚓/業平忌/木耳/李/半夏生/団扇/雷鳥/夏館/漆掻/雷/青鬼灯 ●秋 天の川/西瓜/枝豆/水引の花/生姜/残暑/つくつくぼうし/燈籠/墓参/瓢/月/良夜/朝顔の種/新米/案山子/鈴虫/夜長妻/濁酒/柿/秋の空/蟷螂/小鳥/きのこ狩/文化の日/花野 ●冬 時雨/神の留守/落葉/大根/切干/たくわん/銀杏落葉/冬鷗/河豚/枯枝/ストーブ/炬燵/冬羽織/おでん/鳰/蠟梅/つらら/探梅/春隣 ●新年 飾/去年今年/歌留多/福寿草/初鴉/七草
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