
珍夜特急 2nd season 9―アルゼンチン―
クロサワ コウタロウ
この本について
最近、自分が今やっていることにどれくらい意味があるのか分からなくなる時ってありませんか。続けるべきか、いったん立ち止まるべきか、その判断がつかないまま日々が過ぎていく感じ。私もよくそこで迷ってしまうのですが、この『珍夜特急 2nd season 9―アルゼンチン―』を読んだとき、ふっと肩の力が抜けるような瞬間がありました。 読者が保存していた抜粋にある「アリエルのあの顔を見れただけで、旅は役割を果たした」という一節は、目的とか成果とかを追いかけ続けて疲れている人ほど刺さると思います。何か壮大な答えをつかむより、「あ、この瞬間だけで十分かもしれない」と気づくことで、視界が急に変わるあの感覚。この本は、その変化がどんなふうに人の背中をそっと押すのか、具体的な出来事を通して描いてくれます。 そしてもうひとつ大きかったのは、「前を向くことは、これまでを否定することではない」という言葉。過去を手放すのが苦手な人ほど、進むと過去が無意味になるように思えてしまうのですが、ここではむしろ過去があるから前に進める、という柔らかい理解にたどり着きます。主人公が日本に帰る決断をする場面も、逃げでも挑戦でもなく、ただ自分の中の変化を静かに受け止めた結果として描かれていて、その現実味がすごくよかったです。 たぶん、この本が刺さるのは「何かをやめる決断を後ろめたく感じてしまう人」。大げさな励ましではなく、旅の途中でふと訪れる“気持ちの向きの変化”を一緒に体験させてくれる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
読書の順序
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