
この本について
なんとなく毎日をこなしているだけで、自分が何に支えられて生きているのか分からなくなるときがあります。誰かの役に立てている実感も薄いし、弱さを見せたところで理解されるのか不安で、結局ひとりで抱え込んでしまう。表では普通にふるまえても、ふとした瞬間に「この先どうやって歩いていけばいいんだろう」と足が止まるような、あの感覚に近いものです。 『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』は、そういう気持ちをごまかさずに向き合う視点をくれます。生きがいを語るときもきれいごとではなく、「自分を必要としてくれる人の存在」という、実際に手を伸ばせるところまで引き寄せてくれる。病気や障害の場面では、当事者がどれだけ孤独になるのか、そしてその孤独を少しだけ溶かすのは、派手な励ましではなく、ただ手を握ってくれる人の存在だと静かに示してくれます。さらに、失ったものを数え続けるのではなく、前を向こうと決めた人がどんなふうに日々を立て直していくのかも描かれていて、自分の生活にも置き換えやすいんです。 大げさに人生を変えるというより、気持ちの置きどころが少し楽になる本です。自分の弱さを誰にも言えずに抱えている人、あるいは「当たり前」の価値を見失っている人には特に刺さると思います。読んだあと、呼吸をひとつゆっくりする余裕が生まれるような一冊でした。
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