
すばらしい日々
よしもとばなな
幻冬舎 / 2017-02-07
この本について
最近、人との距離や家族への期待、あるいは「この選択でよかったのか」という小さな迷いが、ふとした拍子に胸に残ることが多いように思います。前向きになろうとしてもうまく切り替わらない日もあるし、逆に何気ない瞬間だけが妙に心を救ってくれることもある。そんな揺れの中にいるときに触れると、すっと力が抜けるのが『すばらしい日々』でした。 この本は、大きな答えを教えてくれるわけではなくて、むしろ「人ってそんなに器用じゃないよね」という前提から始まります。たとえば、期待と信じることの違いに気づく場面では、家族でも恋人でも、つい相手に“良かれと思って”何かを求めてしまう自分がよぎります。でもその一方で、生きていてくれるだけでいい、と心のどこかで思えるようになると、関係の景色が少し変わる。あるいは、二度と起きないと思っていた出来事がふいに訪れる描写を読むと、人生には理屈では説明できない「執行猶予のような優しさ」が本当にあるんだと信じられるようになる。そういう小さな視点の変化が、この本のいちばんの効き目です。 また、エゴ同士がぶつかるのは仕方ないという淡々とした視線や、ただ遊ぶ、行ってみる、といった小さな行動の価値を肯定してくれる感覚も、今の生活にそっと馴染んでいく気がしました。がんばり続けるしかなかった時期の自分を思い返しながら読むと、少し肩の荷が下りる人も多いはずです。 誰かに励まされたいわけじゃないけれど、少しだけ呼吸を整えたい人に届く本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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