
この本について
なんとなく日々に飽和感があって、「どこかに行きたいけど、ただの旅行じゃなくて、気持ちごと入れ替わるようなきっかけがほしい」と思うことってありますよね。仕事に追われていると、気分転換さえ予定表の一部みたいになってしまって、結果的に何も変わらないまま日常に戻ってくることが多い気がします。 この本の抜粋を見ていて思ったのは、読者の方が保存しているのが、いわゆる観光情報ではなく「佐敦の路地の店名」や「中環の小さな店舗番号」など、かなり具体的な場所の断片ばかりだということです。つまり、惹かれているのは“香港に行くこと”そのものよりも、“自分の足で異国の生活圏に入り込む感覚”なんじゃないかと。 本書が効いてくるのは、まさにその「生活の温度に触れて、自分の感覚が揺さぶられる」瞬間を丁寧に書いているところです。観光スポットではなく、咖蛋飯を出す食堂の住所がそのまま載っているような雑さというか、生々しさがあって、読んでいると自分もそこを歩いているような気分になります。旅というより、普段の視点が無理なくほぐれる感じです。また、72時間という短さのおかげで、ぜんぶを変えようと気負わず、「1つだけ気づければ十分」という目線で読めるのも救いでした。 ふだんの生活から少しだけ横にずれたい人、予定ではなく“感覚で動く旅”をしてみたい人には刺さりやすい一冊だと思います。
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