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アジア無限回廊1: 九龍城塞落城前夜 (ノンフィクション旅行記)

アジア無限回廊1: 九龍城塞落城前夜 (ノンフィクション旅行記)

日比野 宏

累計読者数3
平均ハイライト数 2件/人
star総合評価 42/100
boltライト読書型
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この本について

日々同じ場所にいると、自分がどこに立っているのかふっと分からなくなることがあります。仕事でも生活でも、目の前のことに追われるほど、世界の「奥行き」みたいなものが感じられなくなるというか。そんな時に旅に出ればいい…と簡単に言えるほど余裕もないし、じゃあどうしたらいいんだろう、と悩む人は多いと思います。 『アジア無限回廊1』は、そんな停滞感を真正面から刺激してくる本です。ただ観光地を巡る旅行記ではなく、「扉の向こうはまだまだ」という描写のように、読者の感覚を一段深いところへ連れていく。土地の匂いや音、そこで生きる人のよく分からない感情に触れた時の戸惑いまで書かれていて、読みながら自分の輪郭が少し揺らぐような体験があります。九龍城のごちゃついた構造の描写なんて、混沌の中にも秩序があることを教えてくれるようで、仕事の判断に追われているときほど沁みます。 そして、この本の効き目はもうひとつあって、旅人が出会う小さな場面が、読者自身の「わからなさ」を肯定してくれるところです。漁師のじいさんの本心も、ネコの警戒心も、完全には理解できない。でも、分からないまま立ち会った経験が、その後の自分の見え方を変えていく。人との距離の取り方で悩んでいる時にも、妙に勇気づけられます。 世界の複雑さに飲まれそうになりつつ、それでも異質なものと向き合いたい人に刺さる一冊です。

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