
週末バンコクでちょっと脱力 (朝日文庫)
下川 裕治、阿部 稔哉
朝日新聞出版 / 2013-03
この本について
仕事で疲れが溜まってくると、「何か気分を切り替えたいのに、遠くへ行くほどの余裕もない」というモヤモヤがよく出てきます。休みを有効に使いたい気持ちはあるのに、結局いつもの週末で終わってしまう。僕もずっとその繰り返しでした。 この本は、バンコクという大都市を扱いながらも、観光ガイドとはまったく別の温度で書かれています。読者が保存している部分を見ると、夜行寝台とLCCの値段差、百年市場までのソンテウの行き方、パンを「菓子」と呼ぶ感覚など、細かい生活の匂いに反応している人が多いように見えます。つまりこの本は、頑張って“映える旅”をしなくてもいいんだ、ただ歩き回って人と店の空気に触れるだけで充分なんだ、という視点をそっと渡してくれるんです。観光地のポスターにはまず載らない場所ばかりなのに、読んでいると肩の力が抜けて、次の週末にふらっと航空券を検索したくなる。そんな不思議な軽さがあります。 もうひとつ大きかったのは、著者自身が「時代遅れの日本人」と言われる苦さをそのまま書いているところ。変わり続ける街を前に、自分だけ取り残されたような感覚は、海外に限らず誰でも経験しますよね。その気持ちを抱えたまま歩いていいし、むしろその視点でしか見えない風景もある。旅を“成長の舞台”にしなくていいんだと救われました。 予定を詰め込む旅行がしんどくなってきた人、週末に少しだけ呼吸を変えたい人に、ゆっくり効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
読書の順序
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