
銀河英雄伝説9 回天篇 (らいとすたっふ文庫)
田中芳樹
東京創元社 / 2008-06
この本について
日々、人と話していて「どうしてもうまく伝わらないな」とか、ニュースを見ながら「判断する材料が足りてる気がしない」とか、そんな小さなモヤモヤがじわっと積もることってありますよね。自分の中にある感情も、歴史のように見たくない部分はつい目をそらしたくなるし、言葉にするのも面倒で後回しにしてしまう。僕も似たようなところをぐるぐるしていました。 『銀河英雄伝説9 回天篇』を読んでいて、抜粋された場面の多くが言葉の扱いと、判断の根拠、そして憎しみや記憶のような「避けがたい感情」をまっすぐ見ようとする姿勢に集まっているのを感じました。たとえば「言葉では伝わらないものがあると言えるのは、言葉を使いつくした人だけだ」という一節は、逃げずに向き合うことの重さを静かに突きつけてきます。また「正しい判断は、正しい情報と正しい分析からしか生まれない」という指摘は、都合のいい結論に飛びつきがちな自分を思い返すきっかけになると思います。 さらに、憎しみと愛を対にして語る場面や、歴史を「人類の共有する記憶」として扱う姿勢は、自分の中の複雑な感情や過去の出来事をどう扱うかを、少し冷静に考える視点をくれます。誰かを嫌悪した自分を否定するのではなく、その奥にある価値観を見にいくような感覚です。 伝える言葉が足りないと感じている人、判断に迷いやすい人、あるいは自分の感情の扱いに困っている人には、静かに効いてくる巻だと思います。僕自身は、このあたりの台詞のおかげで、日常の小さな言葉選びや、人の話を聞く姿勢が少し変わりました。そんなふうに実生活にじわっと染みてくる読書体験をしたい人に届けばうれしいです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの55%が集中しています。
読書の順序
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