
この本について
古典って、授業で触れたはずなのに、いざ読むと「なんでこんなに遠いんだろう」と感じることが多いですよね。自分の読解力が低いのか、それとも昔の人が特別すごかったのか…と、うまく言葉にできないモヤモヤを抱えたまま距離が縮まらない。僕もずっとそんな調子でした。 この本が面白いのは、「古典=高尚で難しい」という前提そのものを、気持ちよく裏返してくれるところです。たとえば、漢文もひらがなも“最初から完成された言語”ではなく、日本人が試行錯誤しながら作ってきた「道具」にすぎなかったこと。昔の人だって全然スラスラ読めなくて、カタカナで“メモ”を書き込みながら悪戦苦闘していたこと。そういう人間くさい話を知るだけで、古典が急に自分の生活圏まで降りてきます。また、「わからない」を起点にしていい、という著者の姿勢も救われます。接点は必ずどこかにある、と言い切ってくれることで、難しさに向かう時の肩の力がひょいと抜けるんです。 古典を“教養として身につけるもの”ではなく、“今の日本語や、自分の読み書きの癖を理解する手がかり”として扱いたい人に向いています。丁寧に読むほど、現代日本語がどれだけ昔の変化の積み重ねでできているかが見えてきて、自分が普段使っている言葉への見え方まで変わっていきます。難解な学問書ではなく、生活感のある視点から古典を読み直したい人に、ちょうどいい一冊だと思います。
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