
心はすべて数学である (文春e-book)
津田一郎
文藝春秋 / 2023-04-05
この本について
日々の仕事で、「なんとなく違和感はあるのに、理由が言語化できない」とか、「直感でわかっていることを他人に説明できない」という場面がけっこうあります。感覚はあるのに、そこから先の整理が追いつかない感じです。自分でもよくあるのですが、こういう“説明できないモヤモヤ”って、放っておくと判断を誤ったり、余計に疲れたりします。 この本が面白いのは、感覚と感性をわざわざ切り分けて扱ってくれるところです。あの抜粋にもあるように、感覚は目の前の具体的な情報で、感性はそれを抽象化してパターンとしてつかむ力だ、と説明されます。言葉にしてみると当たり前のようですが、実際にこの区別を意識すると、目の前の経験をどう扱うかが少し変わります。例えば、ただ疲れているだけだと思っていたのが、「具体的に何がしんどいのか」と「それをどう理解しようとしているのか」を分けて考えられるようになる。これだけでも、無駄に自分を責めずに済みました。 もう一つ助かったのは、感性の“抽象化”を数学的に説明してくれるところです。といっても難しい数式の話ではなく、「脳はこういうふうに世界をパターン化している」という視点がもらえる。自分の判断癖や、なぜ同じところでつまずくのかが、ちょっと他人事のように見えるようになります。謎の自己嫌悪ではなく、仕組みとして理解できるイメージです。 経験の意味づけで立ち止まりやすい人、直感と言語のあいだでもがいている人には刺さると思います。自分の頭の動き方を、一度フラットに見直したいときにちょうどいい本でした。
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