
サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 (文春e-book)
ジリアン・テット and 土方奈美
文藝春秋 / 2019-05-09
この本について
仕事をしていると、自分の見えている範囲だけで判断してしまって、いつのまにか選択肢が狭まっている感覚がありませんか。部門ごとの文化や専門用語に囲まれて、他の領域の動きが途端に遠くなるあの感じです。僕自身も「自分は全体を見ているつもり」だったのに、実は同じ枠組みの中でぐるぐる回っていただけだと気づく瞬間がよくあります。 『サイロ・エフェクト』が効くのは、そういう“気づけていない盲点”を具体的な事例で見せてくれるところでした。金融危機の裏側で誰も分類できなかった新しい組織が増殖していた話は、自分の仕事にもそのまま置き換えられます。分類の外側にあるものは、本当に見えなくなるんだなと。さらに、人類学の「参与観察」という考え方が出てくるあたりも、この本の面白いところで、他部署や別領域に一度入り込んでみないと見えない構造があるという指摘はかなり実感に近かったです。 サイロを壊すというと改革っぽい話に聞こえますが、この本が繰り返し強調しているのは、好奇心や他者への寛容さといった“心の持ち方”のほうでした。大掛かりな仕組みづくりより、まず自分がどんな分類で世界を見ているかを一度立ち止まって眺めること。それだけで判断の幅が少し広がる感じがあります。 自分の仕事の見方がどこか固まってきたと思う人に、静かに刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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