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サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 (文春e-book)

サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 (文春e-book)

ジリアン・テット and 土方奈美

文藝春秋 / 2019-05-09

累計読者数6
平均ハイライト数 30.5件/人
推定読了時間 約5時間6分
star総合評価 71/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 48%

この本について

仕事をしていると、自分の見えている範囲だけで判断してしまって、いつのまにか選択肢が狭まっている感覚がありませんか。部門ごとの文化や専門用語に囲まれて、他の領域の動きが途端に遠くなるあの感じです。僕自身も「自分は全体を見ているつもり」だったのに、実は同じ枠組みの中でぐるぐる回っていただけだと気づく瞬間がよくあります。 『サイロ・エフェクト』が効くのは、そういう“気づけていない盲点”を具体的な事例で見せてくれるところでした。金融危機の裏側で誰も分類できなかった新しい組織が増殖していた話は、自分の仕事にもそのまま置き換えられます。分類の外側にあるものは、本当に見えなくなるんだなと。さらに、人類学の「参与観察」という考え方が出てくるあたりも、この本の面白いところで、他部署や別領域に一度入り込んでみないと見えない構造があるという指摘はかなり実感に近かったです。 サイロを壊すというと改革っぽい話に聞こえますが、この本が繰り返し強調しているのは、好奇心や他者への寛容さといった“心の持ち方”のほうでした。大掛かりな仕組みづくりより、まず自分がどんな分類で世界を見ているかを一度立ち止まって眺めること。それだけで判断の幅が少し広がる感じがあります。 自分の仕事の見方がどこか固まってきたと思う人に、静かに刺さる本です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

1999年のラスベガス。ソニーは絶頂期にあるように見えた。しかし、舞台上でCEOの出井伸之がお披露目した「ウォークマン」の次世代商品は、2つの部門がそれぞれ別個に開発した、2つの互換性のない商品だった。それはソニーの後の凋落を予告するものだった。 世界の金融システムがメルトダウンし、デジタル版ウォークマンの覇権をめぐる戦いでソニーがアップルに完敗し、ニューヨーク市役所が効率的に市民サービスを提供できない背景には、共通の原因がある。それは何か——。謎かけのようなこの問いに、文化人類学者という特異な経歴を持つ、FT紙きってのジャーナリストが挑む。 企業であれ自治体であれ、あらゆる組織は「サイロ化」という罠に陥りがちである。分業化したそれぞれの部門が、それぞれの持つ情報や技術を部署の中だけでとどめてしまい、隣の部署とのあいだに壁を作ってしまう。日本語では「タコツボ化」と呼ばれるこの現象は、どんな組織でも普遍的に存在する。 経済学的な観点からすれば、身内での競争を生むような「サイロ」は無駄であるから、トップが「サイロ撲滅」の掛け声をかければ解決に向かう、と思いがちだ。ソニーの新しい経営者・ストリンガーも最初はそう考えた。しかし、彼は失敗した。壁は極めて強固で、一度できたサイロは容易には壊れない。 文化人類学者の視点を持つ著者は、「サイロ」が出来るのは人間に普遍な原因がある、と説く。人間に求められる技術が高度で専門的になればなるほど、サイロはむしろ必要とされるからだ。 人間は必ずサイロを作る、ならば、その利点を活用しつつ、その弊害を軽減する方法を探ろうとする画期的な論考が、本書である。
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