
亡霊星域 《叛逆航路》ユニバース (創元SF文庫)
アン・レッキー and 赤尾 秀子
累計読者数3
平均ハイライト数 5.3件/人
star総合評価 31/100
boltライト読書型
この本について
仕事でも人間関係でも、「相手との距離感がつかめないまま、気づけば自分ばかり疲れている」という感覚ってありませんか。私もよくやらかしてしまうのですが、無意識に相手の期待を読みすぎたり、逆に踏み込み方が分からなかったりすると、心がどこか宙ぶらりんになります。 『亡霊星域』を読んでいて印象的だったのは、まさにその“距離の揺らぎ”が物語の中心にあることでした。かつて艦船として複数の身体と意識を共有していた主人公が、「個」として生きるしかない状況に置かれる。副官の呼吸ひとつまで感じていた時代を思い出しながら、いま目の前の人との関係をどう扱えばいいのか迷い続ける姿が、とても人間くさくて刺さります。しかも、相手に気に入られたほうが人生は楽だ、と冷静に言い切る場面もあって、その正直さにハッとさせられました。 もうひとつ、この作品は“見た目”や“所属”で他者を判断する世界の息苦しさを、淡々とした描写で浮かび上がらせます。肌の色や制服、階級で役割が決まり、艦ごとのプライドが摩擦を生む。その中で主人公は、かつての「全体でひとつ」という感覚を失いながら、自分がどこに立てばいいのか探し続ける。こちらの心の揺れに重なる部分が、多くの読者の抜粋に表れている気がします。 自分の輪郭が曖昧になりがちな人、他者との関係に疲れやすい人ほど、この物語の静かな痛みと強さがしみると思います。
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