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なめらかな世界と、その敵 (ハヤカワ文庫JA)

なめらかな世界と、その敵 (ハヤカワ文庫JA)

伴名 練

勁草書房 / 2019-08

累計読者数12
平均ハイライト数 7.2件/人
推定読了時間 約6時間18分
star総合評価 39/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 12%

この本について

最近、「誰かにちゃんと見てもらえている感じがしない」とか、「自分って昨日までの自分と同じ人間なのか?」みたいな、説明しづらいモヤモヤがふっと湧くことがあります。仕事でも人間関係でも、理由は特定できないのに孤立感だけはやたらリアルで、でも日常は淡々と進んでいく。僕自身、この手の感覚をうまく扱えないまま過ごす日がよくあります。 『なめらかな世界と、その敵』を読んだとき、読者が抜き出していた「自分をずっと見ていてくれる誰かは存在し得ない」という一節が、まず胸に刺さりました。伴名練の短篇はSFの体裁をとっているけれど、そこで描かれている“隔たり”や“同一性の揺らぎ”は、すごく日常的な感情の延長にあります。例えば、ある瞬間の気分の変化だけで過去の自分を置き去りにしてしまう怖さとか、コミュニケーションの壁が遮断であり接続でもあるという妙な二面性とか、そういう曖昧な部分が物語の形で立ち上がってくるんです。 僕に効いたのは、こういう揺らぎを「整理しよう」とせず、そのまま観察できるようになるところでした。自分の内側の判断を言語化することが行動につながる、という指摘もあって、読後はふだん言語化を後回しにしていた感情にちょっとだけ目を向けられるようになりました。それと、人間のアイデンティティって壮大なテーマじゃなくても、好きな人が変わってしまうだけで揺らぐんだよな、という現実的な視点もこの本ならではです。 孤独感や自己の連続性に違和感を覚えたことがある人には、かなり深く届くと思います。自分の輪郭が曖昧になる瞬間を、そのまま正面から見たいときに手に取るとちょうどいい一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作のほか、脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる「美亜羽へ贈る拳銃」、ソ連とアメリカの超高度人工知能がせめぎあう改変歴史ドラマ「シンギュラリティ・ソヴィエト」、未曾有の災害に巻き込まれた新幹線の乗客たちをめぐる書き下ろし「ひかりより速く、ゆるやかに」など、卓抜した筆致と想像力で綴られる全6篇。SFへの限りない憧憬が生んだ奇跡の才能、初の傑作集が満を持して登場。
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