
なめらかな世界と、その敵 (ハヤカワ文庫JA)
伴名 練
勁草書房 / 2019-08
この本について
最近、「誰かにちゃんと見てもらえている感じがしない」とか、「自分って昨日までの自分と同じ人間なのか?」みたいな、説明しづらいモヤモヤがふっと湧くことがあります。仕事でも人間関係でも、理由は特定できないのに孤立感だけはやたらリアルで、でも日常は淡々と進んでいく。僕自身、この手の感覚をうまく扱えないまま過ごす日がよくあります。 『なめらかな世界と、その敵』を読んだとき、読者が抜き出していた「自分をずっと見ていてくれる誰かは存在し得ない」という一節が、まず胸に刺さりました。伴名練の短篇はSFの体裁をとっているけれど、そこで描かれている“隔たり”や“同一性の揺らぎ”は、すごく日常的な感情の延長にあります。例えば、ある瞬間の気分の変化だけで過去の自分を置き去りにしてしまう怖さとか、コミュニケーションの壁が遮断であり接続でもあるという妙な二面性とか、そういう曖昧な部分が物語の形で立ち上がってくるんです。 僕に効いたのは、こういう揺らぎを「整理しよう」とせず、そのまま観察できるようになるところでした。自分の内側の判断を言語化することが行動につながる、という指摘もあって、読後はふだん言語化を後回しにしていた感情にちょっとだけ目を向けられるようになりました。それと、人間のアイデンティティって壮大なテーマじゃなくても、好きな人が変わってしまうだけで揺らぐんだよな、という現実的な視点もこの本ならではです。 孤独感や自己の連続性に違和感を覚えたことがある人には、かなり深く届くと思います。自分の輪郭が曖昧になる瞬間を、そのまま正面から見たいときに手に取るとちょうどいい一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
読書の順序
この本の前に読まれた本
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要





![日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA)](https://m.media-amazon.com/images/I/81T7ennxj3L._SY500.jpg)
